Tinderで陰キャはどこまで頑張れるのか?

2020年2月某日。

18時になろうとする渋谷の街は多くの人で賑わっていた。


僕もその街でその夜を楽しもうとしている1人である。
お会いするのは、マッチングアプリ"Tinder"で出会った女性。正体不明の人とこういった形でお会いするのは初めてであり、待っている間は「どんな人が来るのだろうか…」という期待とそれ以上の不安でいっぱいだった。


相手について分かっていることは、20歳の大学2年生。顔は写真を見た雰囲気は朝日奈央さんに近く、金髪で渋谷系の服装とそれなりの身長があるイメージだった。


マッチングアプリは、ドタキャンや無断で集合場所に来ないなんていうのはザラにあるらしい。僕も顔には自信は無いため、そうなってもおかしくはないと思っていた。


集合時間の18時に、彼女から連絡が来た。
「もう着いてますか?」
この一報で、まず会えることは確信した。
服装の特徴などを連絡し合い、10分ほど経って1人の女性に話しかけられた。
「◯◯さんですか?」


驚いた。思ってた人と全く違う。が、良い意味で違う。写真の雰囲気以上に背が低く、黒髪で可愛らしい子がやって来た。ハードルをとても低めに設定していたこともあってかめちゃくちゃ可愛く見えてしかたなかった。西野七瀬堀未央奈を足して2で割ったような雰囲気。可愛い。


待ってる間はどんな人が来るのかわからないという点から緊張していたが、会って以降は話すことには自信は無くはなかった為、緊張せずに打ち解けることができた。


歩いて数分で居酒屋に到着。この時点で僕はどうやってこの子を抱こうか考えている。というか、考えてきた。彼女から「24時から夜勤のバイトがある」と事前に伝えられており、それを聞いたときは「無理かな…」と思ったが、これを利用しようと作戦を考えてきた。


作戦としては、まず18時から居酒屋で飲む。そしてこの店は2時間経つと時間制限のような形で追い出される為、「20時から24時まで時間が空いてしまうから一緒にいよう」という口実のもと、その時間内にフィニッシュまでいくという作戦だ。
話す内容も調べに調べを重ね、女性との有用なコミュニケーションの取り方と内容を構築してきた。今日の俺に死角無し。


飲みながら話した内容はまずは世間話から。学生生活のことやアルバイトのことや実家のこと。この辺は正直とても興味がない。その為とても面白くない。が、どんな話でも女性の言ってることに頷いて共感してあげることが大切。膨らませたくもない話を膨らませて盛り上げた。ぶっちゃけほぼ聞いてないし覚えていない。


次に出会い方がマッチングアプリということで、アプリについての話をした。これに関しては色々参考になる話もあった。僕のプロフィールの写真を褒めてくれたり、なんなら写真より実物の方がいいと褒めてくれたりで気分は最高潮。周りの友人でこんなにいい子はいない。


世間話が一通り終わったところで恋愛の話に入りたい。世間話をしてお互いの気持ちがリラックスしたところで、少し深い恋愛の話をすると同時に好意を伝えてスパートをかける。はずだった…。


話を変えようとしても、相手が割とお喋り好きだった為、相手からの話題提供が止まらず話題は趣味の話へ。これも適当に流せばよかったものの、趣味が合致してしまって話は膨らむ一方。結局ほぼ恋愛話のターンが来ずに、店員さんから「そろそろ2時間経ちますのでお会計お願いしまーす」の声が。ここで恋愛話が出来なかったのは痛すぎる。ただ好きなものが同じ相手と好きなものの話をしただけになってしまった…。


とりあえず店を出た。店のチョイスは一応ホテル街付近を選んでいたため、「もうちょい一緒にいよう」と言ってとりあえずホテル街方面へ。
しかし、察されたのか何なのか「2軒目で飲もー!」とゴリゴリに押されてしまい繁華街に戻って店探しへ…。2軒目に行きたいと思われる=つまらなくはなかった=楽しかった ではあるのだろうからありがたいことではあるが今日の気分は違う…。


結局、勇気を振り絞れず相手の勢いそのまま2軒目へ。「うーん今日のところは終わったわ」そんな気分になってだいぶ萎えた。


そして2軒目からやっと恋愛の話へシフト。ただこの話の中で、「ヤリモクはNG」や「ヤリモクとは会うためにはやってない」などの発言があったことから、勇気を出してまで誘わなかったのはある意味吉だったのかもしれない。せっかくの出会いではあるため、空気を壊したり、良い友達になれそうな関係を崩したくはない。


もう一つ、会う前のトークで24時からバイトがあることを伝えられて、僕は「じゃあその時間までご飯行きましょ」と言ったのが好感良かったという。そこで、「じゃあ別の日で」と言っていたら24時以降も一緒にいようとするヤリモク疑惑をかけられていたとか。あんだけ作戦立ててたから僕ヤリモク側なんですけどね多分…。


そんな話の中で僕は自分をよく見せようと「ヤるためにアプリをやるとかヤバい奴やん」や「浮気をする奴なダメ」みたいな誠実で純粋な人間を演じてしまい(実際そういう考えはある)、そこで相手から「凄い良い人」認定みたいなのをされたがなんだかスッキリせず時間に…。

 


結局、僕のTinder即日お持ち帰り企画は失敗となった。可愛かったし、僕のこともとても褒めてくれたから押したらいけたんじゃないかという後悔はある。
が、やはり僕はいい人過ぎて勇気も出ないため、多分今後もワンナイトみたいなことはできない性格なのだろう。
自分のことを認めてくれて、なんでも話せる新しい良い友達ができたとポジティブに捉えて、明日からもマッチングアプリのスワイプに励むのであった…。

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To be continued...